カラマネの基礎知識 〜最終回〜
 カラーマネージメント(CMS)の定義には、「広義の意味」と「狭義の意味」があり、その意味は、下図の通りです。現状でのCMSは、どちらかといえば狭義の意味で運用されています。
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要約しますと、
・ディスプレイやプリンタなど物理的デバイスが理論的なカラースペース内で再現できる領域をガモットといい、各デバイスによって固有なものである。
・カラーの入出力機器の発色の仕組みや、利用目的や、置かれている環境はそれぞれ固有であり、管理されていない装置間では相似の色の再現はできない。
・デバイスインディペンデントカラーは、画像の入力から出力までの工程全体で、個々の機器に依存しない一貫した色再現を目指す。これを実現するために、CIEなどの標準的なカラースペースをデータの基準にする。この基準値を個々の機器のカラースペースに適正にマッピングするために、機器ごとに補正値を用意して色再現を行う。
・発色の仕組みによる特性を捉えるキャラクタライゼーションによって、装置の色を決めている要因と値をデータ化したデバイスプロファイルを作る。これは装置開発をするベンダーが用意する。
・機器の発色は変動するので、各装置の特性をデータ化したときの値を基準にして、使用中のデータを計測して基準値に合わせ込むキャリブレーションを行う。
・色評価を行う環境は標準光源を用い、また外部の色の映り込みを排して、色評価条件を一定に保つ。
・DTPにおけるカラーマネージメントの目的は、印刷再現の予測であり、画面では紙で再現できる範囲の色だけが表示できればよいが、電子出版では離れたモニタ間でも色が相似になる仕組みとして使われる。
などが挙げられます。

現在では、まだ「狭義の意味」でしか運用されていませんでしたが、今後は、究極の目的を達成するために「広義の意味」を目指し、「思い通りの画像」を創出するために何をすべきかを真剣に考える必要があります。これを実現するために可能な限りの技術手段や手法(テクニック)を醸成することによって、映像関連の新たな文化が創生されることが期待できることでしょう。

これまで、カラーマネージメントに特化して、いろいろと新しい情報を提供してきましたが、如何でしたでしょうか?
現在に至るまで「カラマネ(CMS)の基礎知識」というテーマで約2年半(2010年4月からスタート)という長期にわたって情報を提供してきましたが、今回が最終回となります。ただし、ブログ全体年としては、2005年11月から2012年12月までの約7年間継続。
今までお付き合いをして頂きました読者に、心よりお礼を申し上げます。
更に、デジタルカメラ、モニタ、プリンタとういういわば三種の神器を使った色再現をみても、物理的な法則に従うために、思ったより色合わせが難しくなります。
最終的には、限りなく近似した色で置き換えて(これを色域圧縮と言います)、一応満足できる色として仕上げていくプロセスが重要になります。

長い間、お読み頂きまして、誠にありがとうございました。