CMS理論-113

カラマネのまとめ ~ その2 〜
・カラーマネージメントの概念とその本質

 これまで「WYSIWYG」という言葉は、DTPの登場の時期に多用されました。これは、
What you see is what you get. の頭文字を採ったもので、「現在、(モニタ表示で)見ている画像が、最終的に(成果物として)得られる画像である。」という意味になります。
かつて使われていたWYSIWYGとは、ページの大きさや罫線の大きさ、書体形状や文字の並びなど、どちらかというと空間的な意味合いでしたが、Color WYSIWYGになってからは、色的・階調的な意味合いを持つ意味で使われるようになりました。(下図参照)
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 カラーマネージメントシステムを導入すれば、現在使われているモニタ上の色が再現されるという保障がありますので、失敗を恐れずもっと気楽に色を作って(創って)も良いはずです。絶対に再現出来ない色は使うべきではありませんが、コンピュータが色を管理しているので都合の悪い場合にはそのことを利用者に教えてくれますし、その色を表現させないようにコントロールすることも出来ます。このことは、画像処理でも同じで、カラーの「数値を読む」能力がないとプロではないといえなくもありませんが、ことさら神経質に数値を読まなくとも、「現在モニタで見たものが、正しく再現できるのだから良い」と気楽に画像処理やデザインに臨んで頂きたい。特にアートに指向する場合には、このことが大変重要だと考えます。
 カラーマネージメントを行うということは、下図に示す通り、本来の画像データの色を、複数のモニタ同士や、モニタとカラースペースの違うプリンタ、プリンタと色材の違う印刷機など各デバイス(機器)で同じように伝え再現することが目的です。従って、「画像をきれいに加工する」とか「色を鮮やかにする」などは、単に補正に過ぎず、期待色や記憶色を含めて如何に「忠実に再現」できるかがポイントとなります。別の言葉でいえば、カラーマネージメントしたからといって、色補正が正しく行われていない画像データがとりわけきれいな色になるということはあり得ない。補正はあくまでも画像の編集や加工の領域であってカラーマネージメントと同一視してはいけない。
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