CMS理論-097

c.色の感じ方
・網膜の分光感度と人間の色知覚

 −LMS: 人間の網膜の出力
 −HSV: 心理値(経験式)
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 これまで、色知覚のメカニズムは、人間の網膜に備えられたRGB3つのセンサで感知していることを説明した。しかし、現実には、空間周波数が支配的な視覚システムの基本になっていることである。つまり、Long(長波長:赤を感知)、Middle(中波長:緑を感知)及びShort(短波長、青を感知)の3つの感知機能によって色情報を得ていることが判った。
ただ、上で述べたように、LongはRedに、MiddleはGeenへ、そしてShortはBlue にそれぞれ対応しているので従来の考え方を踏襲しても何ら問題ない。
 色の知覚は、分光感度に大きく関わりを持ち、これがHSVの表色系で表すことができる。
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つまり、L*a*b*空間で見ると、L*軸、a*軸、b*軸の3次元で表示され、全ての色がこの3次元空間の範囲内に表現できる。
HSVでHは色相、Sは彩度、Vは明度を示す。

 色の感じ方は、人間の五感を使っているので、厳密には単に目に色刺激だけを与えるだけでは正しい色を知覚することはできない。また、人間の様々な感情が絡み合って色が創出されるので、視覚的な要素をもっと重視すべきである。(現状では、圧倒的に測色的な要素のみを扱っている)
 また、知覚を伴う網膜上の色検知センサをRGB錐体とかLMS錐体とか用語の使われ方が統一されていない。
(医学書や参考文献では、「RGB錐体という表現が圧倒的に多い。」、ことは事実である)
筆者が使用している定義は、RGB錐体と呼ぶときは、色検知センサを網膜の色覚感度として使い、LMS錐体と呼ぶときは、知覚色空間周波数(波長に相当する分光感度、L:Long、M:Middle、S:Short)として使う、ことにしている。
RGB錐体を使うのは、撮影→色管理→画像出力する際に使用しているしている色空間がRGB(CMYK)なので、色情報の在り方に矛盾を来さないように考慮している(そう、大学生に教えている=両方の使い分けを明確にするようにと・・・)。その方が一貫した色情報(画像データ)の流れがだれにでも理解しやすいし、第一に理論的に矛盾しないためである。(かなり以前から、ある企業の研究所で使われている)