アンディマンのカルチャークリエート(奏造成)

このブログは、新しい世代の若者を主な対象として掲載します。 特に理科系に強くなれることを目標に、できるだけわかりやすく説明します。 掲載する内容は、画像表現、宇宙論、デザイン、脳科学、工学全般などについてです。 読者の皆さんとの双方向のコミュニケーションをとりたいと考えておりますので、どんどん参加して、忌憚のないご意見を頂けると幸甚です。

December 2012

カラマネの基礎知識 No.3361


カラマネの基礎知識 〜最終回〜
 カラーマネージメント(CMS)の定義には、「広義の意味」と「狭義の意味」があり、その意味は、下図の通りです。現状でのCMSは、どちらかといえば狭義の意味で運用されています。
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要約しますと、
・ディスプレイやプリンタなど物理的デバイスが理論的なカラースペース内で再現できる領域をガモットといい、各デバイスによって固有なものである。
・カラーの入出力機器の発色の仕組みや、利用目的や、置かれている環境はそれぞれ固有であり、管理されていない装置間では相似の色の再現はできない。
・デバイスインディペンデントカラーは、画像の入力から出力までの工程全体で、個々の機器に依存しない一貫した色再現を目指す。これを実現するために、CIEなどの標準的なカラースペースをデータの基準にする。この基準値を個々の機器のカラースペースに適正にマッピングするために、機器ごとに補正値を用意して色再現を行う。
・発色の仕組みによる特性を捉えるキャラクタライゼーションによって、装置の色を決めている要因と値をデータ化したデバイスプロファイルを作る。これは装置開発をするベンダーが用意する。
・機器の発色は変動するので、各装置の特性をデータ化したときの値を基準にして、使用中のデータを計測して基準値に合わせ込むキャリブレーションを行う。
・色評価を行う環境は標準光源を用い、また外部の色の映り込みを排して、色評価条件を一定に保つ。
・DTPにおけるカラーマネージメントの目的は、印刷再現の予測であり、画面では紙で再現できる範囲の色だけが表示できればよいが、電子出版では離れたモニタ間でも色が相似になる仕組みとして使われる。
などが挙げられます。

現在では、まだ「狭義の意味」でしか運用されていませんでしたが、今後は、究極の目的を達成するために「広義の意味」を目指し、「思い通りの画像」を創出するために何をすべきかを真剣に考える必要があります。これを実現するために可能な限りの技術手段や手法(テクニック)を醸成することによって、映像関連の新たな文化が創生されることが期待できることでしょう。

これまで、カラーマネージメントに特化して、いろいろと新しい情報を提供してきましたが、如何でしたでしょうか?
現在に至るまで「カラマネ(CMS)の基礎知識」というテーマで約2年半(2010年4月からスタート)という長期にわたって情報を提供してきましたが、今回が最終回となります。ただし、ブログ全体年としては、2005年11月から2012年12月までの約7年間継続。
今までお付き合いをして頂きました読者に、心よりお礼を申し上げます。
更に、デジタルカメラ、モニタ、プリンタとういういわば三種の神器を使った色再現をみても、物理的な法則に従うために、思ったより色合わせが難しくなります。
最終的には、限りなく近似した色で置き換えて(これを色域圧縮と言います)、一応満足できる色として仕上げていくプロセスが重要になります。

長い間、お読み頂きまして、誠にありがとうございました。

カラマネの基礎知識 No.335

CMS理論-114

カラマネのまとめ 〜その3 〜
・カラーマネージメントの今後の発展

 カラーマネージメントシステムは、奇麗な色を出したり、思った通りの色を創出するのではなく、あくまでも忠実な色再現を行うことが目的になっています。そういった意味で限界があるのです。
今後は、これらの問題を解決するために、更なる研究を進め、よりマッチした新しいカラーマネージメントシステムを構築できるように新しい仕組みを開発する必要があります。
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その手段の1つとして、「管理」から「創造」へと転換しなければならないと考えます。
つまり、「イメージクリエーション」(概念は上図参照)を思考し、推進して行くことだと考えています。
そして、画像形成に必要な全てのファクタを関連付けて新しい画像の世界を醸し出すことを今後のテーマとして、ステップアップを図るようにすべきであると確信します。
イメージクリエーションの発展形は、映像部門にのみ限定しても、下図に示しましたように、これからの新しい文化の発展にかかってきます。従って、これらに関わる全ての人達の弛まない努力と揺るぎのない発展を目指すことに他なりません。
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カラマネの基礎知識 No.3341

CMS理論-113

カラマネのまとめ ~ その2 〜
・カラーマネージメントの概念とその本質

 これまで「WYSIWYG」という言葉は、DTPの登場の時期に多用されました。これは、
What you see is what you get. の頭文字を採ったもので、「現在、(モニタ表示で)見ている画像が、最終的に(成果物として)得られる画像である。」という意味になります。
かつて使われていたWYSIWYGとは、ページの大きさや罫線の大きさ、書体形状や文字の並びなど、どちらかというと空間的な意味合いでしたが、Color WYSIWYGになってからは、色的・階調的な意味合いを持つ意味で使われるようになりました。(下図参照)
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 カラーマネージメントシステムを導入すれば、現在使われているモニタ上の色が再現されるという保障がありますので、失敗を恐れずもっと気楽に色を作って(創って)も良いはずです。絶対に再現出来ない色は使うべきではありませんが、コンピュータが色を管理しているので都合の悪い場合にはそのことを利用者に教えてくれますし、その色を表現させないようにコントロールすることも出来ます。このことは、画像処理でも同じで、カラーの「数値を読む」能力がないとプロではないといえなくもありませんが、ことさら神経質に数値を読まなくとも、「現在モニタで見たものが、正しく再現できるのだから良い」と気楽に画像処理やデザインに臨んで頂きたい。特にアートに指向する場合には、このことが大変重要だと考えます。
 カラーマネージメントを行うということは、下図に示す通り、本来の画像データの色を、複数のモニタ同士や、モニタとカラースペースの違うプリンタ、プリンタと色材の違う印刷機など各デバイス(機器)で同じように伝え再現することが目的です。従って、「画像をきれいに加工する」とか「色を鮮やかにする」などは、単に補正に過ぎず、期待色や記憶色を含めて如何に「忠実に再現」できるかがポイントとなります。別の言葉でいえば、カラーマネージメントしたからといって、色補正が正しく行われていない画像データがとりわけきれいな色になるということはあり得ない。補正はあくまでも画像の編集や加工の領域であってカラーマネージメントと同一視してはいけない。
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