アンディマンのカルチャークリエート(奏造成)

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January 2012

カラマネの基礎知識 No.2891

CMS理論-068
7-027-b

d.ICCプロファイルの機能と構成
  ICCプロファイルを作成する仕組みとプロセスは、上図に示した通りである。
使用目的に合った、ICCプロファイルの選択と作成用チャートの設定が重要である。
・ICCプロファイル:機器の色特性データ
 −プラットホーム非依存
 −画像ファイルへの埋め込み
 −プロファイルの分類
 <作業用色空間>
  RGB系:sRGB、AdobeRGB、ProphotoRGB、scRGB、AppleRGB
  CMYK系:Japan Color 2001 coated、Japan Color 2002 Newspaper、JMPA Color
 <デバイスプロファイル>
  入力系:スキャナ、デジタルカメラ
  出力系:モニタ、プリンタ、DDCP
 <色空間>
  RGB、CMYK、YCC、その他
 <その他の分類>
  PCSに変換する、デバイスリンク
・CMM関連項目:プロファイルの合成と画像データの変換機能
 カラーマネージメントを行うために、現在主流のOSで使われている(CMMではない)。
 −Macintosh:ColorSync
 −Windows:series ICM(Image Color Management)
 −sun unix:KCMS
 *CMMエンジン:ACE(Adobe Color Engine)、HeiderbergCMM、KodakCMM
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e.ICCプロファイル普及の背景
・各社様々なCMS が存在→ ICCプロファイル
・ICC(International Color Consoritium)で規格化
−50社以上が参加 (Apple, Adobe, Kodak, Microsoft, Epson, Canon, Konicaminolta, NEC, Sony, Toppan, etc.)
・ICCプロファイル対応プリンタが増加
・ICCに準拠したカラーマネージメントシステムでは、ICCプロファイルと言う定義ファイルの設定に重点を置かれている。ICCプロファイルは各入力デバイスやモニタ、出力デバイスの色空間設定や、プロファイル同士の変換を行う設定などである。
デバイスやデータドキュメントで使用されるRGBやCMYKなどのデバイス依存色(Device Dependent Color)を、ICCプロファイルを使用してCIE L*a*b*、CIE XYZなどのデバイス非依存色(Device Independent Color)で管理されるPCS(Profile Connection Space)に色空間の変換を行う。
色空間変換では、ICCプロファイル(デバイスの色空間の特性を定義したファイル)を使用してデバイスごとに変換を行う。 ICCで規定されているプロファイルの種類は、スキャナやデジタルカメラなどの色空間からPCSに変換するための入力プロファイル、モニタ色空間とPCS間の変換に使用されるモニタプロファイル、プリンタ、印刷機などの色空間とPCSとの間の変換を行う出力プロファイル、AdobeRGBやsRGBなどの画像の流通に使用されるカラースペースプロファイル、ユーザーが任意の補正情報を埋め込めるアブストラクト・プロファイル、複数のデバイスプロファイルとアブストラクト・プロファイルを組み合わせて一つのプロファイルにしたデバイスリンク・プロファイルがある。

カラマネの基礎知識 No.2881

CMS理論-067

6.2 ICCプロファイルの概観
a.ICC Profile (ICCプロファイル)

 スキャナ、デジタルカメラ、モニタ、カラープリンタ、印刷機など、特定のデバイスがどのようにカラーを再現するのか、つまりカラースペースに関する特性を記述したファイルである。例えば、「このモニタは青味を強く再現する傾向にある」などと言った場合、それは、そのモニタ(デバイス)特有の色再現性情報を持ったCMSを導入して各デバイス同士で色合わせする際に、「私は青味がかって表示する傾向(特性)があります」ということを表示(宣言)してやれば、その特性に合わせて色の再現時に補正してやればデバイス同士での問題がなくなることになる。このICC*1プロファイルは一般的なものが多く使われているが、メーカーによって開発された独自の(カスタム)プロファイルも存在する。カスタムプロファイルを作成する場合は、カラー専用の測定器(分光光度計、色彩計など)とプロファイル作成ソフトウェアを用いて、個々のデバイスに対応して作成される。
7-0-67-1

*1:ICCはInternational Color Consortiumの略で、国際カラーコンソーシアムをいう。1993年にAdobe System社ほか7社で設立した組織で、一般に技術開示することによって、どのベンダーにとっても共通してクロスプラットフォームで利用できるカラーマネジメントシステムアーキテクチャ(色管理システム設計思想の意味)の標準化及び発展を策定し、促進することを目指したものである。

b.デバイスプロファイル
◆ DTP(Desk Top Publishing)環境でカラーマネジメントを行いやすくするために、OS(Operating System)が色変換のエンジンを使えるようにするとか、装置の特性を示すデバイスプロファイルデータのフォーマットの標準化が行われている。
◆ ColorSyncはMacOSが色変換を扱うための仕組みと内蔵の色変換エンジンであり、WindowsではICM(Image Color Management)が相当する。いずれもデバイスプロファイルフォーマットの標準であるICCに対応する。
◆ それぞれ異なる色再現領域をもつデバイス間でのカラーマッチングのために、いったん汎用のカラースペースに変換するのがデバイスインデペンデントカラーの考え方であり、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage)のXYZやL*a*b*が共通のカラースペースとして使われる。
◆ 各デバイスの色再現能力を共通のカラースペース上の情報にしたのがデバイスプロファイルである。DTP環境では複数の装置を扱うので、各装置のデバイスプロファイルを参照して、異なる色空間の間で色相似になるようにデータ変換をする。
◆ アプリケーションがOSにRGB/CMYK(Bk) 変換を依頼すると、OSはCMS(Color Management System)を呼び出し、デバイスプロファイルと変換エンジンCMM(Color Metrics Match or Color Management Module)を読み込んで色変換をして、その結果をアプリケーションに返す。再現不可能な色も、最も近い色に置き換える。
◆ 変換前後の色再現域には違いがあるので、色変換の整合性をとるためには変換規則(意図)を決める必要がある。これをレンダリングインテントという。再現不可能な色を置き換える場合も、レンダリングインテントに沿って最適な色に変換する。
◆色の品質を決めるのはデバイスプロファイルとCMMの精度であり、広義のカラーマネジメントシステムではない。

c.ICCプロファイルの運用
◆ ICCプロファイルはICCにより策定された、あるデバイスがどのようにカラーを再現するか、そのカラースペースや特性について記述したファイルである。
◆ RGBとCMYK(Bk) の間で色の設定を変換する場合や、ディスプレイやプリンタの色を調整する場合に参照することで、正確な色の再現性を得ることができる。
◆ ICCプロファイルは、モニタなどのディスプレイデバイス、スキャナやデジタルカメラなどの入力デバイス、プリンタなどの出力デバイスによる3タイプのデバイスに対して作成される。
◆ 標準的なプロファイルは、デバイスメーカーによってプロファイリングソフトウェアやツールを使って作成される。
◆ ICCプロファイルはタグの集合体であり大きく分けると、プロファイルの情報を記述するヘッダの部分、プロファイルを構成する要素の一覧を記述するタグテーブル、それぞれの構成要素タグの内容を記述するタグエレメントデータの3つの部分から構成される。
◆ICCプロファイルの実体は変換テーブルである。各デバイスに対して、例えばCMYK(Bk) のある値に対するL*a*b*値が書かれている。重要なことは1つのプロファイルに対して必ず双方向を定義しなければならないことである。また、プロファイル編集ツールはトーンカーブなどに置き換えることによって、変換テーブルを編集する。
◆カラーマネジメントの運用として重要なことは、独立したプロファイルを使う設定や埋め込まれているプロファイルを使う設定などである。TIFFやPDFのデータにICCプロファイルを埋め込むことができるが、デバイス間のカラーマネジメントを理解しないまま運用すると二重にプロファイルをかけることになる。

カラマネの基礎知識 No.2871

CMS理論-066

c.新しい色空間の考え方
・色空間(カラースペース )

 色空間は、下図左に示すように、特定のガモット又はカラーレンジという主要な性質を持った、カラーモデルの特定の種類をいう。例えば、RGBカラーモデルには、sRGB、AdobeRGB、AppleRGBなどが存在している。これら全てはRGBという同じ座標でカラーを表現しているが、ガモットその他、個別の特質が異なっている。もちろん、CMYKもあり、それらのカラースペースはアプリケーション上で自由に設定が可能である。
◆ どのような方法であれ、色を表現するには3つの属性が必要になるので、3次元の空間(立体)で色を数値化したモデルが考えられた。
◆ 「色」をあるカラーモデルの規則に従って表示することで、意図した色を情報として正確に伝達できる。
◆ コンピュータのカラーモニタやスキャナ、テレビの画面などは、RGBカラーモデルを使い、光を直接コントロールして色の情報を作る。
◆ 印刷ではCMYK(Bk) インキを1枚の紙の上に刷り重ね、インキが光を吸収したり反射したりした光によって色の認識をする。
◆ 規格化されたカラースペースの代表はCIE表色系であるが、色相、彩度、明度という感覚をベースにしたカラースペースもある。
◆色相、彩度、明度の3属性で客観的に数値化して表す感覚をベースにした体系にマンセル表色系、オストワルド表色系などがある。
◆ マンセル表色系は、色の知覚を段階分けしてHV/C(LCHと同義)で表現するもので、光の物理量との関係付けが難しいが、人間の感覚には近いとされている。
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 上図右は、RGB表色系とXYZ表色系の位置関係を示したものである。
これは、RGB表色系とXYZ表色系の関係を3次元的に表現したものである。
RGB表色系とXYZ表色系は、次の関係式により、相互に変換できる。例えば、三刺激値R, G, Bから三刺激値X, Y, Zへの変換は、
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であり、逆に三刺激値X, Y, Zから三刺激値R, G, Bへの変換は、
7-0-66-3  



である。

カラマネの基礎知識 No.2861

CMS理論-065

6.カラーマネジメントシステム(CMS)
6.1 カラーマネジメントシステムの概念
a.カラーマネジメントの定義

 カラーマネジメントの定義には、「広義の意味」と「狭義の意味」があり、その意味は、下図の通りである。

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◆ ディスプレイやプリンタなど物理的デバイスが理論的なカラースペース内で再現できる領域をガモットといい、デバイスごとに固有である。
◆ カラーの入出力機器の発色の仕組みや、利用目的や、置かれている環境はそれぞれ固有であり、管理されていない装置間では相似の色の再現はできない。
◆ デバイスインデペンデントカラーは、画像の入力から出力までの工程全体で、個々の機器に依存しない一貫した色再現を目指す。これを実現するために、CIEなどの標準的なカラースペースをデータの基準にする。この基準値を個々の機器のカラースペースに適正にマッピングするために、機器ごとに補正値を用意して色再現を行う。
◆ 発色の仕組みによる特性を捉えるキャラクタライゼーションによって、装置の色を決めている要因と値をデータ化したデバイスプロファイルを作る。これは装置開発をするベンダーが用意する。
◆機器の発色は変動するので、各装置の特性をデータ化したときの値を基準にして、使用中のデータを計測して基準値に合わせ込むキャリブレーションを行う。
◆ 色評価を行う環境は標準光源を用い、また外部の色の映り込みを排して、色評価条件を一定に保つ。
◆ DTPにおけるカラーマネジメントの目的は、印刷再現の予測であり、画面では紙で再現できる範囲の色だけが表示できればよいが、電子出版では離れたモニタ間でも色が相似になる仕組みとして使われる。

b.CMSの2つの方向性
 プロファイルや色空間は、公式なのと非公式なものを含めると多数存在している。
これらを統括して一元的に取扱えるものは、未だ存在していないが、それでも統一的ないわゆる「標準的」なものが必要になる。ここでは、現状を踏まえた諸事情を考慮しながらも汎用性が高く、また簡易的に扱えるメリットを生かして、プロファイルはICCを、色空間はsRGBを採用する。
・ICC - 汎用性
 −高速翻訳の仕組み作り
 −原画像データとプロファイルを規定
 −唯一の現存するプロファイルでデファクトスタンダード
・sRGB - 簡易性
 −色の「エスペラント」を目指す
 −変換された画像データを規定
 −AdobeRGBとの整合性も必要
 −デバイスの特性に合わせて使用
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