CMS理論-032
��Lambert-Beer（ランベルトーベール）の法則(濃度加法則)→写真に適用
・分光濃度領域で加法性成立
ランベルトーベールの法則は、ランベルトの法則とベールの法則を合わせたものである。
基本となる式は、
ランベルトの法則では、入射光の強度I0と透過光の強度Iとの比（光減衰）の対数が、吸収媒体の厚さｄに比例し、
Log（I0／I）＝αd α：定数
で与えられる。これに対して、ベールの法則では、光減衰の対数が吸収媒体に含まれる吸収物質の濃度ｃに比例し、
Log（I0／I）＝βc β：定数
で与えられる。
これらの式から、ランベルト−ベールの法則、
Log（I0／I）＝κcd κ：定数
が導き出される。
��Neugebauer（ノイゲバウア）方程式→印刷に適用
ノイゲバウア方程式は、Neugebauer（ノイゲバウア）による、再現色の3刺激値と網点面積率の関係を表した線形方程式である。カラー写真画像を原稿とし、インクジェットのようなドットにより絵を表現する場合の、色再現の基礎理論である。これは、印刷される面積を求め知るためのもので、上記の式で与えられ、面積を計算する際に網点率を重みとして用いることが特徴となっている。印刷は網点で構成されているので、印刷面積を求める場合、網点面積率の関係から算出できる。つまり、インクジェットのようなドットにより画像を表現する場合に用いられる。これは、色材の三原色CMYに対する網点面積率ａが判れば、この式により印刷時の印刷面積Tが算出できることが理解できる。また、再現色の三刺激値XYZに対しても適用でき、それぞれ独立して求められる。
ノイゲバウア方程式は、ノイゲバウア理論（カラーマスキング理論）に基づくものである。色補正*1の方法の1つである線型マスキング（linear masking）は、印刷の分野で古くから用いられてきた色再現の手法で、色材の不要吸収を除去するために、入力RGB各版の濃度を調整して重ねあわせることにより出力CMY各版を作成する手法である。デジタルの世界では、RGBに対し3x3のマトリックス演算をしてCMYを求めることに相当するが、この用語は、他の3x3のマトリックス演算処理にも広く用いられる。
*1：色補正（color correction）
原画に忠実な色再現を行うための操作である。写真や印刷では、シアン／マゼンダ／イエローの色の3色素を用いて、色再現を行うが、副吸収と呼ばれる不要な色を吸収する成分を、現実の色素は持つため、色が濁る等の影響を取除く「色補正」が必要となる。
→マスキング…………色分解フィルタのマスクを用いて濁り成分を相殺する。
→線型マスキング……3x3マトリクス演算を電気回路で実現（カラーコピー）する。
→2段マスキング……マスキング実施後に着目色のみ色補正する。
→最小自乗法的手法…マトリクス演算の係数の設定で平均誤差を最小にする。
なお、マスキング（masking）はマスキング処理ともいい、色分解フィルムを用いて、色の濁り成分を相殺する方法ことである。つまり、色補正のことである。
・印刷の品質管理
品質管理と一言で言っても各社それぞれいろんな方法で取り組んでいると思料するが大切なのは、川下である、ポストプレスから取り組まなければ品質管理は不可能である。
およそ、デジタル化の中で川上のプリプレスから標準化を勧めると肝心なプレス部署で色調管理が思うようにいかないといった話をよく耳にする。
印刷機械はインクの濃度を加減するしか出来ないと言うことを理解して頂きたい。
では、どのようにすればよいかを次に考察する。
まずはじめに、印刷機械の状態を把握することにする。
柔らかくいえば、自社の印刷機械が、風邪気味なのか、発熱しているのか、末期状況なのかを、まず、知ることである。
健康な状態でないなら、品質管理以前の問題となるので論外とする。
その場合は、自社の印刷機械をメーカーから出荷されたときと同じ標準状態に戻しすことが先決である。
その状態でテストチャートを標準濃度で印刷する。
基準となる標準濃度は以下の通りである。
BK―1.9 C−1.65 M−1.65 Y−1.5
この数字はジャパンカラーと呼ばれる日本の標準濃度である。
この数値で印刷をした場合の各色のドットゲインを測定する。
セッティングによってゲインカーブは異なるので注意が必要である。
ドットゲインは50%の網点部分が一番大きくなるはずである。
しかも、印刷インクはBK−C−M−Yの順にインクの硬さが軟らかくなっているので、Yが一番おおきな頂点のカーブになるはずである。
これを基準としてプリプレスにフィードバックさせる。
要は、印刷再現を一定にするのが品質管理の最たるところである。
では、次に管理方法であるが、大きく分けて4箇所ある。
第一に、ベタ濃度管理について
これは一番オーソドックスな管理方法である。
インクのベタ部分を濃度計にて計測するだけであるが、濃度値の目安は先ほどのジャパンカラーの数値を基準とする。
第二に網点管理である。
これはシステムによって2種類ある。
現在主流なのは、VBDフォグラの計測パターンを用いた手法である。
これは、先ほどのベタ濃度の数値で印刷した場合、40%と80%の網点領域を測定する方法である。
これに対して、システムブルーナーの計測パターンを用いた手法もある。
濃度数値は同じであるが、計測する網点領域が25%と75%になる。
どちらでも構わないが、出来ればVBDフォグラを推奨する。
余談であるが、印刷機械のメーカー各社によって、設計段階でのドットゲインの数値が異なることがあるから、一度自社で使用しているメーカーに問い合わせてみることである。
同じ機械でもおよそ2~3%は違うはずである。
理想は、網点濃度が濃く、再現性に優れた印刷機械の選定がベストではあるが自社がベタを重視するのか網点の再現性を重視するのかで選定基準を変えて当然であろう。
校正印刷と本機印刷の対比今まででもそうであるが、校正と本機とは違いが発生する。
最近、CTPの普及で標準化が進んだので幾分かは安定してきた。
あくまでも校正したものは参考資料としてのみ扱うことが大切である。
むしろ、顧客が望む品質レベルに合わせて校正手法も変えるべきである。
工場全体を管理して顧客が望む印刷物を製造するのが印刷会社の使命であると考える。
��Lambert-Beer（ランベルトーベール）の法則(濃度加法則)→写真に適用
・分光濃度領域で加法性成立
ランベルトーベールの法則は、ランベルトの法則とベールの法則を合わせたものである。
基本となる式は、
ランベルトの法則では、入射光の強度I0と透過光の強度Iとの比（光減衰）の対数が、吸収媒体の厚さｄに比例し、
Log（I0／I）＝αd α：定数
で与えられる。これに対して、ベールの法則では、光減衰の対数が吸収媒体に含まれる吸収物質の濃度ｃに比例し、
Log（I0／I）＝βc β：定数
で与えられる。
これらの式から、ランベルト−ベールの法則、
Log（I0／I）＝κcd κ：定数
が導き出される。
��Neugebauer（ノイゲバウア）方程式→印刷に適用
ノイゲバウア方程式は、Neugebauer（ノイゲバウア）による、再現色の3刺激値と網点面積率の関係を表した線形方程式である。カラー写真画像を原稿とし、インクジェットのようなドットにより絵を表現する場合の、色再現の基礎理論である。これは、印刷される面積を求め知るためのもので、上記の式で与えられ、面積を計算する際に網点率を重みとして用いることが特徴となっている。印刷は網点で構成されているので、印刷面積を求める場合、網点面積率の関係から算出できる。つまり、インクジェットのようなドットにより画像を表現する場合に用いられる。これは、色材の三原色CMYに対する網点面積率ａが判れば、この式により印刷時の印刷面積Tが算出できることが理解できる。また、再現色の三刺激値XYZに対しても適用でき、それぞれ独立して求められる。
ノイゲバウア方程式は、ノイゲバウア理論（カラーマスキング理論）に基づくものである。色補正*1の方法の1つである線型マスキング（linear masking）は、印刷の分野で古くから用いられてきた色再現の手法で、色材の不要吸収を除去するために、入力RGB各版の濃度を調整して重ねあわせることにより出力CMY各版を作成する手法である。デジタルの世界では、RGBに対し3x3のマトリックス演算をしてCMYを求めることに相当するが、この用語は、他の3x3のマトリックス演算処理にも広く用いられる。
*1：色補正（color correction）
原画に忠実な色再現を行うための操作である。写真や印刷では、シアン／マゼンダ／イエローの色の3色素を用いて、色再現を行うが、副吸収と呼ばれる不要な色を吸収する成分を、現実の色素は持つため、色が濁る等の影響を取除く「色補正」が必要となる。
→マスキング…………色分解フィルタのマスクを用いて濁り成分を相殺する。
→線型マスキング……3x3マトリクス演算を電気回路で実現（カラーコピー）する。
→2段マスキング……マスキング実施後に着目色のみ色補正する。
→最小自乗法的手法…マトリクス演算の係数の設定で平均誤差を最小にする。
なお、マスキング（masking）はマスキング処理ともいい、色分解フィルムを用いて、色の濁り成分を相殺する方法ことである。つまり、色補正のことである。
・印刷の品質管理
品質管理と一言で言っても各社それぞれいろんな方法で取り組んでいると思料するが大切なのは、川下である、ポストプレスから取り組まなければ品質管理は不可能である。
およそ、デジタル化の中で川上のプリプレスから標準化を勧めると肝心なプレス部署で色調管理が思うようにいかないといった話をよく耳にする。
印刷機械はインクの濃度を加減するしか出来ないと言うことを理解して頂きたい。
では、どのようにすればよいかを次に考察する。
まずはじめに、印刷機械の状態を把握することにする。
柔らかくいえば、自社の印刷機械が、風邪気味なのか、発熱しているのか、末期状況なのかを、まず、知ることである。
健康な状態でないなら、品質管理以前の問題となるので論外とする。
その場合は、自社の印刷機械をメーカーから出荷されたときと同じ標準状態に戻しすことが先決である。
その状態でテストチャートを標準濃度で印刷する。
基準となる標準濃度は以下の通りである。
BK―1.9 C−1.65 M−1.65 Y−1.5
この数字はジャパンカラーと呼ばれる日本の標準濃度である。
この数値で印刷をした場合の各色のドットゲインを測定する。
セッティングによってゲインカーブは異なるので注意が必要である。
ドットゲインは50%の網点部分が一番大きくなるはずである。
しかも、印刷インクはBK−C−M−Yの順にインクの硬さが軟らかくなっているので、Yが一番おおきな頂点のカーブになるはずである。
これを基準としてプリプレスにフィードバックさせる。
要は、印刷再現を一定にするのが品質管理の最たるところである。
では、次に管理方法であるが、大きく分けて4箇所ある。
第一に、ベタ濃度管理について
これは一番オーソドックスな管理方法である。
インクのベタ部分を濃度計にて計測するだけであるが、濃度値の目安は先ほどのジャパンカラーの数値を基準とする。
第二に網点管理である。
これはシステムによって2種類ある。
現在主流なのは、VBDフォグラの計測パターンを用いた手法である。
これは、先ほどのベタ濃度の数値で印刷した場合、40%と80%の網点領域を測定する方法である。
これに対して、システムブルーナーの計測パターンを用いた手法もある。
濃度数値は同じであるが、計測する網点領域が25%と75%になる。
どちらでも構わないが、出来ればVBDフォグラを推奨する。
余談であるが、印刷機械のメーカー各社によって、設計段階でのドットゲインの数値が異なることがあるから、一度自社で使用しているメーカーに問い合わせてみることである。
同じ機械でもおよそ2~3%は違うはずである。
理想は、網点濃度が濃く、再現性に優れた印刷機械の選定がベストではあるが自社がベタを重視するのか網点の再現性を重視するのかで選定基準を変えて当然であろう。
校正印刷と本機印刷の対比今まででもそうであるが、校正と本機とは違いが発生する。
最近、CTPの普及で標準化が進んだので幾分かは安定してきた。
あくまでも校正したものは参考資料としてのみ扱うことが大切である。
むしろ、顧客が望む品質レベルに合わせて校正手法も変えるべきである。
工場全体を管理して顧客が望む印刷物を製造するのが印刷会社の使命であると考える。
