アンディマンのカルチャークリエート(奏造成)

このブログは、新しい世代の若者を主な対象として掲載します。 特に理科系に強くなれることを目標に、できるだけわかりやすく説明します。 掲載する内容は、画像表現、宇宙論、デザイン、脳科学、工学全般などについてです。 読者の皆さんとの双方向のコミュニケーションをとりたいと考えておりますので、どんどん参加して、忌憚のないご意見を頂けると幸甚です。

February 2011

カラマネの基礎知識 No.2412

CMS理論-019

e.色再現されるとは 
均等色空間で合致させる(三刺激値が共通の色空間)ことである。
色再現の仕組みを考えると、図示したように、「目標色」と「再現色」は一致するかもしくは近似することである。従って例えば、光源を太陽光(自然光)と白熱灯(人工光)にし、画像を見たとき、太陽光と白熱灯の比較において差異が生じる。その理由は、色の知覚は人間の眼で見た情報で識別するため、それぞれの光源での分光特性が違ってしまうので、三刺激値XYZの値はその光源が持つ分光特性に基づいた値で表現されるからである。そのために当然のこことして、知覚レベルも変化してしまう結果、見た色が異なってしまうのである。これを一致させるためには、CMSにより補正することによって新しい「再現色」が得られ、近似した(限りなく一致した)色再現が行われる。
誰もがもっと簡単に、もっと確実に色を伝え合うために、色彩の経史の中では、さまざまな人々が独自の方法で複雑な計算式を使いながら、色を定量化して表わすことに着目していいる。つまり、長さや重さと同じように色を数値で表わす方法を考案したのである。
例えば、1905年米国人の画家アルパート.H.マンセルは、「色相」、「明度」、「彩度」でそれぞれ分類した数多くの色紙を作り、これを目で見比べて分類しながら色を表現する方法を考案した。

7-019-a


図は、色再現する場合の変換プロセスの概念を示したものである。
ここで、H:Hue(色相)、Saturation(彩度)、V:Value(明度)を示す。

・正確な色の表示および表現
 色再現という概念は、理解度が個人レベルによってかなり異なるテーマとなるが、モノクロの時代からカラーの時代に移行してかなりの時間を費やしてきた。例えば、ハードコピーである印刷物、写真プリント、電子表示媒体が殆ど全部といっていいくらいカラー化され、印刷物がカラーになっているのは当たり前になって来ている。つまり、RGBデータで色を表示できるということは、もはや常識化していると言っても過言ではない。
 しかしながら、色を表現することと、正確な色として表現することは別問題であるということが、まだ関係者には理解されていないようである。2000年代当初、印刷ワークフローの中にRGBデータが広まり、特に画質向上が著しいプロ用のデジタルカメラの画像データは、処理・展開される色空間において、常に議論の的になっていた。
 デジタルカメラを扱いそのデータを展開するものとして、入力系、処理系、出力系の3つのプロセスに分類できる。正確な色として表現するためには、画像データが同一の基準の上で作成され、運用されることが絶対的に必要となる。
 例えば、入力系を考えると色空間の指定や色再現特性の設定は正しく行われなければならない。更に、撮影時にホワイトバランスを合わせることもとても重要なことである。これは、撮影する時に光源の色温度が無視できないからである。つまり、色温度は撮影時と再生時の環境条件が異なることによっては見え方がまるで違うためである。
 また、処理系はというと、カウェアメラメーカーやソフトウェア開発メーカーが提供しているRAWデータを現像するソフトウェアの設定や、色空間までも選べるソフトウェアが市場に出回ってきたので、基準となる色空間の設定および色再現特性の設定が必要である。レタッチソフトのワークスペースの設定も重要である。
 更に、出力系を考えると、例えばプリンタの場合についていえば、メディアホワイトといいわれる紙の選択がとても重要となる。どのような白を基準とするのか、ドライバソフトの設定をどう決めるかなども大いに関係が出てくる。プリンタが安定して再現性の良い色にするということは、なかなか困難であり、完全な色一致性を期待することはできない。
モニタの場合は、白色点の指定が重要である。一般に色温度が9300Kで出荷されているWindowsのモニタに対して、本来はD65とかD50で見なければならない。また、色空間、色域の指定、さらに機器の調整項目などがあり、キャリブレーションを取っていないモニタで正しく色を見ることは難しい。これらをすべて問題なく設定するには、ある程度の知識や経験が必要となっている。

カラマネの基礎知識 No.2402

CMS理論-018

・黒体放射の理論的考察 

7-018-a


あらゆる波長の電磁波を完全に吸収する理想的な物体のことを黒体という。(常温では黒く見える)
電磁波を完全に遮断する壁で囲んだ空洞の壁に、壁の全体の面積に比べて極めて小さい窓を開け、壁全体を一定の温度に保って、外部からこの窓を見れば、窓の面は黒体とみなしてよい。たとえば、炭は黒体に近いとみなせる。
黒体放射は空洞放射ともいう。放射を透過させない壁で囲まれた空洞内部にあって熱平衡に達した電磁波動をいう。壁が一定温度Tに保たれているとき、壁にあけた小窓は、温度Tの黒体に相当する熱放射をしているように見える。
 温度Tと放射される電磁波の最大強度の波長との間には、Wienの法則と呼ばれる関係があり、温度が増大するほどλmaxは短波長に移動する。

7-018-b


波長と周波数は
λ=c/νλ
という関係式によって結びついている。
プランクの法則は分光エネルギー密度に関して

7-018-d


と表すこともできる。ここでエネルギー密度 u は単位体積、単位周波数あたりのエネルギーの単位(ジュール毎立方センチメートル毎ヘルツ)をもつ。この式を周波数について積分をすれば、全エネルギー密度を得る。黒体の輻射場は光子気体と考えることができ、その場合エネルギー密度は光子気体の熱力学変数の一つとなる。
また分光エネルギー密度を波長の関数として

7-018-c


と表すこともできる。
マックス・プランクは1900年(発行は1901年)にプランクの法則を生み出した。プランクの法則は最初、ヴィーンの放射法則より良い公式を得ようとする過程でみつけた公式だった。ヴィーンの放射法則はヴィルヘルム・ヴィーンが1896年に発表した公式であり、短波長(高周波数)においては実験データと一致するものの、長波長(低周波数)では一致しない。一方レイリー・ジーンズの法則(1900年に不完全な形でレイリーが発表した)は反対に長波長(低周波数)でよい一致を示す。プランクのみつけた前述の公式は、全ての波長領域において非常によく実験データと一致した。次にこの法則の導出を構築する過程で、プランクは物質中の荷電振動子の異なるモードについての電磁エネルギー分布を考えた。これらの振動子のエネルギーが離散的になっていると仮定したところ、プランクの法則を導出することができた。具体的には、エネルギーは振動数 ν に比例する単位エネルギー E、即ち
E = hν
の整数倍になっていなくてはならない。
プランクはこの量子化の仮定を、アルベルト・アインシュタインが光電効果の説明のために光子の存在を仮定するよりも5年前に行っていた。この時点では、プランクは量子化は空洞壁面にあるであろう微小の共鳴子(resonator、現在でいう原子)にのみ適用されるものであり、光それ自身が離散的なエネルギーの束や塊を伝播する性質を有しているとは仮定しなかった。更には、プランクはこの仮定にはなんら物理的重要性はなく、公式を導くための単なる数学的な道具に過ぎないと考えていた。
プランクの公式では黒体は全ての周波数の電磁波を放出するとしているが、これは非常に多数の光子が測定される実験でのみ実際に適用できる。例えば室温 (300 K) における表面積が1平方メートルの黒体は、1000年に一度程度しか可視領域の光子を放出せず、よって通常の実験などにおいては黒体は室温では可視光線を放出されないといっても差し支えない。実験データからプランクの法則を導出する際などのこの事実の重要性については[7]で議論されている。
この法則による影響として、プランクのエネルギー量子化の仮説とアインシュタインの光量子仮説は、ともに量子力学の発展における基礎となった。

カラマネの基礎知識 No.2392

CMS理論-017

d.黒体放射(Blackbody )
・基本概念
7-017-a

(高温に)熱せられた物質からは、さまざまな波長の光の混ざった連続スペクトルが放射される。とくに、放射が(ガスと同じ温度の)熱力学的平衡状態になっているときに放射されるスペクトルが、 黒体放射スペクトル(blackbody spectrum、上図参照)である。
星の内部や降着円盤の内部などでは、ガスと放射はほぼ熱力学的平衡状態になっており、したがって星から放射されるスペクトルは、おおざっぱには黒体放射スペクトルで近似できる。さらに細かくみれば、星の大気による吸収散乱などの影響を受けたり、宇宙空間や地球大気を通過してくる間に吸収散乱を受けて、黒体放射からずれたものになる。

・黒体放射スペクトルの例
天体典型的な温度
宇宙開闢の頃 10^32 K
高温降着円盤 10^9~13 K
低温降着円盤 10^7 K
中性子星表面 10^7 K
太陽中心 10^7 K
白色矮星表面 10,000 K
高温度星表面 10,000 K
太陽表面 6,000 K
宇宙の晴れ上がり 4,000 K
星間雲 10~100 K
現在の宇宙背景放射 2.74 K

・黒体放射の公式プランク分布
 ガス粒子同士の相互作用などさまざまな過程によって、ガス(物質)から光が放出される。地球の大気や星の内部などでは、多くの場合、ガスは熱的統計的に平衡状態に達していて、温度、密度、圧力などが決められる。さらに、ガスと光/放射(photon/radiation)との相互作用が大きく、光子が原子によって頻繁に吸収放出されたり、あるいはランダムに多数回散乱されていると、(ガスと共に放射も(ガスと同じ温度の)熱力学的平衡状態になっている。このときの光子の分布(あるいは、そのときに放射されるスペクトル)が、黒体放射スペクトル(blackbody spectrum)とか、 プランク分布(Planck distribution)と呼ばれるものである。 以前は黒体輻射とも呼ばれていたが、ここでは統一的に黒体放射として扱うことにする。
 光の強さ(放射強度)は、一般には、時刻や場所や方向によって変わるが、黒体放射スペクトルは、一様かつ等方的であり、唯一、熱平衡の温度 T だけに依存する。
 ある振動数νでの黒体放射スペクトルの強度 Bν は、光速を c、プランク定数を h、ボルツマン定数を k とすると、
7-017-b

のように表される。
 また、ある波長λでの黒体放射スペクトルの強度 Bλ は、
7-017-c
  
のように表される。

カラマネの基礎知識 No.2382

CMS理論-016

② 演色性
◆ 演色性は、ある光源のもとでの色の見え方が、同じ色温度の基準光源での見え方にどれだけ近いかをRa(演色評価数)で示す。
◆ モニタや蛍光灯などを選ぶときは、まず色温度によって区別し、演色性の数値を見て評価する。
◆ Raが100に近いほど高演色性の照明光といえる。日本印刷学会の標準光源ではRaは90以上としている。

・演色性と演色評価数
-平均演色評価数及び特殊演色評価数を求めるための試験色


7-016-b


 演色性評価数を算出する時に使用される色見本(参考のため作成した図で、実際のものとは異なる)は、下図に示す通りである。
1~8 :色相が赤・黄・黄緑・緑・青緑・青紫・紫・赤紫で明度6彩度4~8。灰色味が
   少し加わった色となる、 日常的によく見るトーンの色
9~12 :赤・黄・緑・青の高彩度
13 :Caucasoid(コーカソイド、いわゆる白人)の肌色
14 :葉の色.肌色や草木の色は身近で頭の中に記憶されている色(=記憶色)である色
   再現の対象として重要な色
15 :日本人の平均的な肌色、15番はJISのみでCIEの規格にはない

7-016-a


図は、演色評価数計算使用15種験試色及びその特性を示す。
[注]実際のサンプル色は、本例とは異なっている。

 ものが自然に見える「基準となる光源」を考えその値を100点にし、「基準光で照らしたときの色」と「評価したい資料光源で照らしたときの色」の差(色差)を100点から引いた値を試料光源の演色性の善し悪しを表す値と考える。つまり、基準光と同じ色となるならその光源は100点満点だということになる。この光源の演色性の善し悪しを表す値を演色評価数(Color Rendering Index)と呼ぶ。これを式で表すと、

          演色評価数=100-4.6×ΔE 

“4.6”という係数は演色性が許容される限界と考えられる電球色の普通形蛍光ランプが50になるように調整する係数である。ΔE=1のとき演色評価数が4.6変化することから、演色評価数の5程度の変化はたいした変化ではない(悪影響を及ぼさない)といえる。
 1~15までの色の1つ1つの演色評価数を、ある特定の色i(i=1~15)に対する
演色評価数だから特殊演色評価数Riという。

          Ri=100-4.6×ΔEi

1から8の特殊演色評価数の平均値を平均演色評価数Raと呼ぶ。

          Ra=Σ(i=1~8)Ri×1/8

 通常、平均演色評価数Raと、必要に応じていくつかの特殊演色評価数Riを補足して評価する。基準光は「評価したい光源と同じ色温度」の太陽の光を用いる。
この「評価したい光源と同じ色温度」というところが重要で、これはつまり色温度が違う光源は基準となるものが違うので、色温度が違う光源同士の演色評価数を比較することはできない(意味が無い)のである。
厳密にいうと、基準光として5,000K未満の場合は黒体の光、5,000K以上の時はCIE昼光を用いる。でも、太陽は近似的に黒体と見なすことができるし、CIE昼光は多くの太陽光を測定して統計的に求めたものなので太陽の光みたいなものである。
実際の蛍光灯では普通形、高演色形、3波長形に分類されている。高演色形では演色A、演色AA、演色AAAといった区分になっていて、それぞれ、               
      DL(De Luxe)
      SDL(Super De Luxe)
      EDL(Extra De Luxe)
と表示されている。
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