CMS理論-006
人間の眼と脳のモデル(続き)
また、図(「色を読む話」コニカミノルタのHPより引用)は、色彩測定における三刺激値(X、Y、Z)の求め方の原理を表わしたものである。この図で、[A]試料(りんご)からの反射光(分光分布)が[B]センサに入ると、それぞれ3色に分解され、[C]三刺激値(X,Y,Z)が判る。[C]=[A]x[B]で求められる。[C]を各分光感度別に見てみると、右端に見られる[C]-1:x (λ)、[C]-2:y(λ)、[C] -3:z(λ)のようになる。それぞれ斜線部(X、Y、Z)を積分計算で求めた値が三刺激値になる。([]内のA,B,Cは黄の丸で表示される。また、x,y,zは上にバーが付く)
なお、このモデルが一般に物体色を求める時に使用されるもので、
物体色=光源の分光分布 x 物体からの分光反射率 x 観測者の目の感度
で計算することができる。
・色の現象的分類
色の現象的分類は、色の心理的側面に着目し、主観的にどのような状態として色が捉えられるか色再現モード(mode of color appearance)を分類したものである。ドイツの心理学者、ダーヴィット・カッツ (David Katz) によって提唱された。
その後、各機関によって微妙に異なる定義による分類が行われている。カッツによる定義・米国光学会(OSA)による定義・JISによる定義などがある。
心理的側面からの分類であるので、物理的に発光していなくても光輝になる場合がある。写真に写っている電球を見る場合、写真は紙の表面であり発光しているわけではないにも拘らず、光輝として分類される。逆に、物理的に発光していても、光輝にならない場合がある。液晶ディスプレイに表現された白紙は、光を発しているにも拘らず、表面色として分類される。
・カッツによる定義
面色(film color):定位性や表面のテクスチャをはっきり知覚することができない見え方。色としての属性以外を感じ取ることができない。例としてよくあげられるものに、青空がある。
表面色(surface color):定位でき、表面のテクスチャをはっきり知覚することができる見え方。日常目にする多くのものがこれである。
空間色(volume color):ある体積の中をその色が満たしていると感じられる見え方。ガラス玉やコップに入った色水など。
光輝(luminosity):光を放射しているように感じられる見え方。炎や電球、雷など。
灼熱(glow):物体として認知されるが、その内部が光で満ち溢れているように感じられる見え方。燃えている木炭、溶解している鉄。
透明面色(transparent color):色としての属性以外を感じ取ることができない色が、背景にかぶっている見え方。色ガラスを通して世界を見る場合の色ガラスの見え方。
透明表面色(transparent surface color):立体的に実態があるように知覚できるが、背景が投下して見える見え方。ガラスに薄く擦り傷がついている場合の傷の見え方。
鏡映色 (mirrored)
光沢 (luster)
さらに、
米国光学会による定義: 開口色・光源色・照明色・物体色
JISによる定義 :物体知覚色・表面色・開口色・発光知覚色・非発光知覚色
つまり、一言で言えば、物体に光が照射されたとき、その表面から反射された光によって現れる色を「表面色」、物体が光を透過することによって現れる色を「透過色」(ステンドグラス・セロファン・瓶など)と呼び、この2つのことを称して「物体色」と呼ぶ。