アンディマンのカルチャークリエート(奏造成)

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November 2010

カラマネの基礎知識 No.2282

7-006
CMS理論-006

人間の眼と脳のモデル(続き)

また、図(「色を読む話」コニカミノルタのHPより引用)は、色彩測定における三刺激値(X、Y、Z)の求め方の原理を表わしたものである。この図で、[A]試料(りんご)からの反射光(分光分布)が[B]センサに入ると、それぞれ3色に分解され、[C]三刺激値(X,Y,Z)が判る。[C]=[A]x[B]で求められる。[C]を各分光感度別に見てみると、右端に見られる[C]-1:x (λ)、[C]-2:y(λ)、[C] -3:z(λ)のようになる。それぞれ斜線部(X、Y、Z)を積分計算で求めた値が三刺激値になる。([]内のA,B,Cは黄の丸で表示される。また、x,y,zは上にバーが付く)
なお、このモデルが一般に物体色を求める時に使用されるもので、
 物体色=光源の分光分布 x 物体からの分光反射率 x 観測者の目の感度
で計算することができる。

・色の現象的分類
色の現象的分類は、色の心理的側面に着目し、主観的にどのような状態として色が捉えられるか色再現モード(mode of color appearance)を分類したものである。ドイツの心理学者、ダーヴィット・カッツ (David Katz) によって提唱された。
その後、各機関によって微妙に異なる定義による分類が行われている。カッツによる定義・米国光学会(OSA)による定義・JISによる定義などがある。
心理的側面からの分類であるので、物理的に発光していなくても光輝になる場合がある。写真に写っている電球を見る場合、写真は紙の表面であり発光しているわけではないにも拘らず、光輝として分類される。逆に、物理的に発光していても、光輝にならない場合がある。液晶ディスプレイに表現された白紙は、光を発しているにも拘らず、表面色として分類される。

・カッツによる定義
面色(film color):定位性や表面のテクスチャをはっきり知覚することができない見え方。色としての属性以外を感じ取ることができない。例としてよくあげられるものに、青空がある。
表面色(surface color):定位でき、表面のテクスチャをはっきり知覚することができる見え方。日常目にする多くのものがこれである。
空間色(volume color):ある体積の中をその色が満たしていると感じられる見え方。ガラス玉やコップに入った色水など。
光輝(luminosity):光を放射しているように感じられる見え方。炎や電球、雷など。
灼熱(glow):物体として認知されるが、その内部が光で満ち溢れているように感じられる見え方。燃えている木炭、溶解している鉄。
透明面色(transparent color):色としての属性以外を感じ取ることができない色が、背景にかぶっている見え方。色ガラスを通して世界を見る場合の色ガラスの見え方。
透明表面色(transparent surface color):立体的に実態があるように知覚できるが、背景が投下して見える見え方。ガラスに薄く擦り傷がついている場合の傷の見え方。
鏡映色 (mirrored)
光沢 (luster)
さらに、
米国光学会による定義: 開口色・光源色・照明色・物体色
JISによる定義 :物体知覚色・表面色・開口色・発光知覚色・非発光知覚色

つまり、一言で言えば、物体に光が照射されたとき、その表面から反射された光によって現れる色を「表面色」、物体が光を透過することによって現れる色を「透過色」(ステンドグラス・セロファン・瓶など)と呼び、この2つのことを称して「物体色」と呼ぶ。

カラマネの基礎知識 No.2271

7203af2a.jpgCMS理論-005

c.人間の眼と脳のモデル
 色覚メカニズムを単純化すると図のようになる。
りんご(対象物)に光源が照射され、その色情報は、眼の網膜に配置された3種の光センサRGBで検知される。そこで色信号であるRGBに別々に変換され、視神経を経由して、大脳皮質に伝送さる。そこで初めて、色として識別される。
 物体は、光が無ければ、色は存在しない。人間が色を認識できるということは、「光源」「物体」「視覚」の3つの要素(これを見えモデルの三要素という)が必要である。例えば、真っ暗闇の中では色は識別できない。また、まぶたを閉じてしまえば物体の色は見えなくなってしまう。さらに、肝心の物体がなければ、色が存在するはずはない。

 図のように、「光源」「物体」「視覚」の3つが揃わないと、絶対に色を感じることは出来ないのである、赤いりんご、黄色いレモン・・・という具合に、色の違いができるのはなぜであろうか。
もともと人間の眼は、RGBの3つのセンサしかないので、物体の反射光(又は透過光)に含まれる全ての色成分を検知するのではなく、眼に入った段階でRGBの分光特性に分けられる。これを三刺激値というが、この色情報は視神経を経由して大脳に伝達されて、初めて色として認識される。
認識は、心理学的な過程のひとつで、外界から得た情報が意味づけされた上で意識に上ることをいう。ここで述べた、外界からの情報が知覚である。これは、身体からの信号である感覚をもとに構成されたものとなる。

 この知覚に対して意味づけを行う過程には知性的能力(理性・悟性)や知識が介在し、同じ対象に対しても個人ごとに同じ認識をしているとは限らない。 認識の形式や仕方、認識される対象を主に哲学・心理学視点から研究する分野が認識論である。
ここで、知覚していることは必ずしも認識していることを意味しない。 いわゆる、「見ている」と「見えている」の違いである。また、認識はそれだけではブラックボックスで、行動・発話などの出力行為によってのみ客観的に確認できるものである。

カラマネの基礎知識 No.2261

71694f80.jpgCMS理論-004

・人間の眼(続き)
−瞳の色
 個体により瞳の色が異なるのはメラニン色素の量の違いによる。色素量によって青<緑<茶<黒のように見える。色素異常によって色素量が極端に少ない場合、血液の色が透けて見え、赤い瞳となる。なお白ウサギの目が赤いのはこのためである。
−活動
 視力は生まれた時は未熟で明暗がわかる程度。 年を追うごとに発達し、6歳程度でほぼ完成、通常時の視力は3歳で約0.6、6歳で約1.0となる。 幼少期に目の障害などで成長が阻害されると機能がうまく発達せず、弱視となる。 目の機能は40歳程度から衰え始め、老眼等の症状が出る。

・知覚の概念
 知覚とは、動物が外界からの刺激を感じ取り、意味づけすることである。 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚、平衡感覚などの感覚情報をもとに、「熱い」「重い」「固い」などという自覚的な体験として再構成する処理であると言える。

・大脳におる知覚のメカニズム
体性感覚情報はまず刺激対側の中心後回(一次感覚野)に達し、その後両側の頭頂弁蓋部(二次感覚野)に伝えられる。
聴覚情報は主に刺激対側の側頭葉上面の一次聴覚野、その後その周囲の二次聴覚野に伝達される。
聴覚、体性感覚とも一次から二次皮質に進むに従い、高次な処理が行われるようである。
視覚情報は後頭葉の一次視覚野にまず達し、順次前方に向かって情報が伝達され様々な処理がなされていく。
視覚、体性感覚、聴覚皮質に囲まれた・あるいは重複する場所に位置する頭頂葉は、それらの情報を統合する(「異種感覚情報の統合」)働きを有している。例えば「机の上にあるコップに手を伸ばして掴む」という一見単純な動作にも、表在感覚や深部覚を含む体性感覚、視覚、さらに運動出力情報を複雑な統合が必要であるが、頭頂葉の障害でこのような動作がスムーズにできなくなる(このような症状は失行と呼ばれる)。

・知覚における運動の役割
 知覚を実現しているのは感覚情報だけではない。例えば、「重い」という知覚を感じ取るためには皮膚からの強い圧覚、筋紡錘や関節からの深部覚フィードバックとともに、それに拮抗して筋力を収縮させているという運動出力の情報も必要となっている。
このように能動的に運動することも情報として使用することによる物体の認識は「アクティブ・タッチ」とよばれている。

・知覚から認知へ
 知覚した色や形状の情報をもとにして、さらに「これはりんごである」あるいは「りんごの色は赤い」などと解釈する処理が認知である。

カラマネの基礎知識 No.2251

b57ff81e.jpgCMS理論-003

b.人間の眼の特徴
 色彩感知発展に関するフローは、次の通りである。
    
  網膜上の3つのセンサ(RGB)の医学的解明


  中央の黄色フィルタ(黄斑)の影響解明
         ↓
   人間の眼の分光感度の標準化が必要
         ↓
    CIE2度標準観測者(1931)の制定
    CIE10度標準観測者(1964)の制定
         ↓
       測色学の発展
 
・人間の眼
 眼(目も同じ)は受容器の1つで、光を感じ取る。 構造がカメラに似ていることから「カメラ眼」とも呼ばれる。 顔面に左右一対あり、立体視による遠近感を認識できる。
−構造
 球体になっており、外側は角膜、強膜で構成され、眼球の球体を維持する。
−屈折
 像はまず角膜を通り、瞳孔を経て眼球内部に入る。 外部の光の量によって虹彩が収縮し、瞳孔の大きさを調節する。 網膜上に像を合わせるために水晶体により像を屈折する。 水晶体はチン小帯・毛様体の働きによって厚さが調節され、カメラと同じように広い距離の焦点を合わせることができる。 屈折した像は硝子体を通して網膜に映りこむ。
 遠くからの光(図−上)と近くからの光(図−下)が網膜で焦点が合う様子。近い場合はレンズが厚くなっている。受験勉強等で、厚い状態のまま就寝することを繰り返すと次第に近視が悪化することになる。就寝前に、一旦遠方の風景を見て、レンズを薄くしてやると、ある程度予防できる。
 水晶体がレンズ状であるため水晶体が屈折の主な役割を果たしていると思われがちだが、実際には屈折は空気と角膜との屈折率の差によってほとんど行われており、水晶体は焦点の調整のみに関わっているといってよい。そのため、角膜が傷つくと失明の恐れがある。
 網膜には桿体細胞、錐体細胞の2種類の視細胞があり、 この細胞を通じて視神経経由で視覚情報が大脳に送られ、視覚となる。 桿体細胞は暗所で機能する。光に対する感度が高い。錐体細胞は、明所で機能する。 光に対する感度は低いが色彩の識別が可能である。
 外部には、瞼(まぶた)、まつ毛がある。 瞼は外部からの異物や強力な光をさえぎるほか、まばたきすることにより眼球表面(結膜)へ涙を送る。
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