カラマネから見た宇宙観
Vol.5
どこまで見えるか?
図は、ティコの太陽系を示す。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
よく仕事の迷いに落ち込んで、本来あるべき姿を失してしまうことがあります。このような状態を、「木を見て林を見ない」といいます。先に挙げましたオルバースのパラドックス(逆説や矛盾のこと)に対する解答の一部としては、同様のパラドックスである「林を見て木を見ず」と言うことができます。つまり、草原の真ん中に立ち周りを見渡すとそこには木々が不規則に立っています。そして木の分布はどの方向にも一様になっています。
こうゆう状態を良く観察すると、ある地点からある一定距離を離れた地点より外側の木々が見えなくなります。これはどうしてでしょうか?その答えは簡単で、目視される木々によって視野の一面が全て覆い隠されてしまうために、その先が見えなくなるのです。
つまり、見る方向に関係なくある距離を越えてしまいますと、いつも1本以上の木が存在してその先をさえぎってしまうからです。この距離を一般に「見通し距離」といい、木々の存在密度とその平均の幹の太さに関係することが判ります。仮に、林が十分なほど大きければ(例えば、富士五湖の近くにある樹海を想像して見て下さい)、幹がどんなに細くとも、分布がどんなにばらついていても、そこには必ずさえぎる部分があって、常に見通し距離があることは理解できるものと思います。
星が一様に広がる無限の宇宙空間を考えたとき、同様に見通し距離が存在することは明らかです。つまり、どの方角にも手前に位置する星が存在し、その星に光がさえぎられて我々が住む地球に光が届かないような、そのような星が必ずあるだろうことが判ります。
この遮光によって、何故空が無限に明るくないのかを理解するのに容易であるはずです。
【Tips】メガパーセク
天文的な距離を表すのには光年がよく用いられますが、銀河間の距離や宇宙の構造を取り扱う場合にはメガパーセク (Mpc) が使われることがあります。
宇宙の最大観測可能距離: 150億光年 = 4200Mpc
かみのけ座銀河団までの距離: 90Mpc
超空洞ボイドの直径: 30〜10Mpc
おとめ座銀河団までの平均距離: 20Mpc
アンドロメダ銀河までの距離: 0.7Mpc
銀河系の直径: 0.03Mpc
Vol.5
どこまで見えるか?
図は、ティコの太陽系を示す。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
よく仕事の迷いに落ち込んで、本来あるべき姿を失してしまうことがあります。このような状態を、「木を見て林を見ない」といいます。先に挙げましたオルバースのパラドックス(逆説や矛盾のこと)に対する解答の一部としては、同様のパラドックスである「林を見て木を見ず」と言うことができます。つまり、草原の真ん中に立ち周りを見渡すとそこには木々が不規則に立っています。そして木の分布はどの方向にも一様になっています。
こうゆう状態を良く観察すると、ある地点からある一定距離を離れた地点より外側の木々が見えなくなります。これはどうしてでしょうか?その答えは簡単で、目視される木々によって視野の一面が全て覆い隠されてしまうために、その先が見えなくなるのです。
つまり、見る方向に関係なくある距離を越えてしまいますと、いつも1本以上の木が存在してその先をさえぎってしまうからです。この距離を一般に「見通し距離」といい、木々の存在密度とその平均の幹の太さに関係することが判ります。仮に、林が十分なほど大きければ(例えば、富士五湖の近くにある樹海を想像して見て下さい)、幹がどんなに細くとも、分布がどんなにばらついていても、そこには必ずさえぎる部分があって、常に見通し距離があることは理解できるものと思います。
星が一様に広がる無限の宇宙空間を考えたとき、同様に見通し距離が存在することは明らかです。つまり、どの方角にも手前に位置する星が存在し、その星に光がさえぎられて我々が住む地球に光が届かないような、そのような星が必ずあるだろうことが判ります。
この遮光によって、何故空が無限に明るくないのかを理解するのに容易であるはずです。
【Tips】メガパーセク
天文的な距離を表すのには光年がよく用いられますが、銀河間の距離や宇宙の構造を取り扱う場合にはメガパーセク (Mpc) が使われることがあります。
宇宙の最大観測可能距離: 150億光年 = 4200Mpc
かみのけ座銀河団までの距離: 90Mpc
超空洞ボイドの直径: 30〜10Mpc
おとめ座銀河団までの平均距離: 20Mpc
アンドロメダ銀河までの距離: 0.7Mpc
銀河系の直径: 0.03Mpc